社会とお米

お米の輸入 ― 外国のお米も食べられる時代へ

お米の輸入をめぐる変化

お米づくりが盛んなのは日本だけではありません。中国やインドなどのアジア各国はもちろんアメリカやオーストラリアなどでも多くのお米が作られています。かつて「お米は一粒たりと輸入しない」と言われた日本も今では外国からの輸入を受入れています。お米の輸入をめぐる流れについてご説明します。

輸入を全く認めていなかった時代

1942年から始まった食糧管理制度の下では、日本国内で生産されたお米は原則として全て政府が買い入れていました。また米価や流通ルートも政府の管轄で決められていたため、農家は安心してお米づくりに取り組むことができました。

食糧管理制度についてより詳しくはこちら

しかしその結果として徐々に消費しきれないほどのお米が生産されて余ってしまうという状態に陥ってしまいました。お米の管理を完全に政府が行うという方法は限界を迎えたのです。

お米の輸入開始へ

食糧管理制度によって手厚く保護されていた日本の米価は、世界でも飛び抜けて高いものになっていました。当時はお米の輸入は一切認められておらず、外国の安いお米は日本国内に入ってこなかったため価格競争も起こりませんでした。

しかし、そんな日本の姿勢に対してアメリカをはじめとする諸外国は批判を強め、お米の輸入を認めるよう要求しました。また1993年の米不足騒動の際には一転してタイや中国、アメリカなどから緊急輸入を行ったこともあり、お米の輸入は避けて通れなくなりました。そしてガット・ウルグアイ・ラウンドをきっかけに、ついに日本も外国からお米を輸入することを認めたのです。

1993年の米騒動って何?という場合はこちら

きっかけはガット・ウルグアイ・ラウンド

ガット(GATT)とは「関税および貿易に関する一般協定」のことで自由貿易の促進を目的とする国際協定です。いろいろな国の間での貿易について話し合うものですが、そのうちのウルグアイで開かれた交渉をウルグアイ・ラウンドと呼びます。この交渉で日本はお米の輸入が開始されることになりました。

現在のところ、お米の輸入には高い関税がかけられているため外国のお米を消費者が目にすることはほとんどありません。しかしこの関税についても徐々に下げることが決められているため、恐らく近い将来には安い輸入米がスーパーやお米屋さんの店頭に並ぶ風景を見ることができるでしょう。消費者の選択の幅はより広がると言えます。

ミニマムアクセスとは?

「ミニマムアクセス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ガット・ウルグアイ・ラウンドで定められたもので、「低い関税で農産物を輸入しなければならない最低限の量」のことです。これがお米にも適用されました。

つまり年間100万トンのミニマムアクセスが設定されている場合、お米の輸入に当たって100万トンまでは低い関税を適用しなくてはいけないという意味です。逆に100万トンを超える分については高い税率を設定しても構わないということになります。

注意したいのが「100万トンのミニマムアクセス」というのは「最低100万トンを輸入しなければいけない」という意味ではないという点です。誰も欲しがらないものを無理に輸入する必要はありません。

輸入米の使い道は?

輸入されたお米は現在お菓子やお酒の原料、家畜の餌、外国への食糧援助などのために使われています。農家を保護する政府の方針もあって輸入米はまだ国産のお米のように一般的には売られていません。袋詰めされた輸入米と国産米がスーパーの店頭に並ぶのにはもう少し時間がかかりそうです。

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