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農薬 ― 現代の農業に欠かせない農薬とその安全性
農薬はなぜ使われるのか?
お米をはじめとする農作物の栽培において発生する有害な生物や病気から農作物を守るための薬剤がいわゆる「農薬」です。雑草や害虫の駆除、病気の予防や対策、農作物の品質安定や長期保存などを目的として使われます。
農薬の種類
除草剤
雑草を枯らすために使う農薬です。
殺菌剤
作物の病気の原因となるカビや細菌を防除する農薬です。
殺虫剤
作物に害を与える虫を防除する農薬です。
殺鼠剤
ねずみなど作物を食い荒らして被害を与える動物を防除します。
農薬の安全性について
農業の進歩はある一面で農薬の進歩であったとも言えます。農薬の発見とその後の研究開発による発達によって、十分な量のお米や野菜を適切な価格で一年中食べることができるようになったのです。
しかしその一方で、一部の農薬は人間に対しても害となってしまうためその安全性について問題視されることもあります。農薬の使用については農薬取締法という法律で厳しく規制されています。
残留農薬
収穫された農作物に残った農薬のことを「残留農薬」と呼びます。安全のため各農薬の残留基準が作物の種類ごとに定められています。残留基準はADI(一日許容摂取量)を元に算定されています。基準を超える農薬が検出された場合には流通が禁止されます。
ADI(一日許容摂取量)とは
農薬の残留基準を定める際に用いられるのがADI(Acceptable Daily Intake)という考え方です。日本語では一日許容摂取量と訳されます。これは「その物質を人間が毎日欠かさず一生摂取し続けたとしても健康に悪影響が出ないであろうと考えられる量」のことです。単位はmg/kgで表されます。
この量を超えて摂取すると直ちに悪影響が出るという意味の数値ではなく、「この量なら万が一にも問題はないだろう」という意味合いの数値です。
ポストハーベスト農薬
農薬の安全性を考える上で特に話題となるのが「ポストハーベスト農薬」と呼ばれるものです。これは収穫後の農産物に対して使用される農薬のことです。日本では収穫後の作物に農薬を使用することは禁止されていますが輸入農作物の場合は輸送中の品質低下防止などを目的として使用されることがあります。その影響や使用方法・管理方法については今も様々な議論が続いてます。
また農薬を使わない無農薬栽培が近年大きな注目を集めています。
生物農薬
一般的な農薬(化学農薬)を使用するよりも安全な方法として注目が集まっているのが「生物農薬」です。これは農薬が果たす役割を生きた生物にまかせようというやり方です。殺虫剤の代わりとして、害虫を食べてくれる別の虫を育てて放すなど、様々な研究が進んでいます。
化学肥料と並んで悪者扱いされがちな農薬ですが、使い方を誤らなければ人体に与える影響は皆無と言っても過言ではありません。私たち消費者も農薬や肥料について正しい知識を持つことが求められています。